ヨークシンシティ編、クロロに対するネオンの占いは本当に外れたのか?

漫画
ハンター×ハンター
ハンター×ハンターのヨークシンシティ編で登場するネオン=ノストラードの念能力は、100%当たる占いをする天使の自動書記(ラブリーゴーストライター)です。

幻影旅団(クモ)の団長であるクロロ=ルシルフルはネオンの占いで出た悪い結果を回避するために行動を起こします。本記事では、それが本当に回避できたのかについて考察してみました。

目次

ネオンの占いは本当に外れたのか?

ここでいうネオンの占いとは、団長クロロに向けて占った内容のことです。まずはその内容をおさらいしてみます。

ハンター×ハンター96話より引用
ハンター×ハンター96話より引用

占い結果を見た旅団の団員達は、「遺る手足が半分」という表現を団員の半分が死ぬことだと予想しました。

しかし実際、占いの後に死んだのはパクノダだけです。
団員達が占いの警告に従って行動した結果、「手足が半分」になることを回避できたということでしょうか?理由は後述しますが、それは No だと思います。

今回の考察では、「手足が半分」という表現を「半分が死ぬ」ことではなく、「半分が旅団メンバーとしての機能を失う」と解釈しました。その理由は幻影旅団の結成当初のクロロの言葉にあります。

ハンター×ハンター114話より引用
ハンター×ハンター114話より引用

もしメンバーが旅団(クモ)よりも団長(クロロ)を生かすことを優先してしまったら、当初の理念から外れてしまい、旅団の「手足としての機能を失う」と考えることができます。
もしそうだとすれば、実はネオンの占いはほぼ当たったと言えます。

ちなみに今回、「手足が半分になる」と「死の予言」を別のものと考えています。2名分の死の予言は回避され、実際に死んだのはパクノダだけとなりました。

以下では、事実関係を整理しつつそのあたりを探っていきます。

情報を整理

ネオンの念能力について

まずはネオン=ノストラードの念能力についてです。
天使の自動書記(ラブリーゴーストライター)は詩の形を借りた100%当たる予知能力です。 占う相手の名前、生年月日、血液型があれば占うことができます。ただし、占った本人はその内容を知らず、また自身を占うこともできません。

占いは4つか5つの四行詩から成り、占った月の週ごとに起こる出来事を予言しています。

占いの結果

占いの結果をそれぞれ確認していきます。

クロロの結果

以下が、ネオンがクロロを占った結果です。

大切な暦が一部欠けて
遺された月達は盛大に葬うだろう
喪服の楽団が奏でる旋律で
霜月は高く穏やかに運ばれていく

菊が葉もろとも涸れ落ちて
血塗られた緋の目の地に臥す傍らで
それでも貴方の優位は揺るがない
遺る手足が半分になろうとも

幕間劇に興じよう
新たに仲間を探すもいいだろう
向かうなら東がいい
きっと待ち人に会えるから

占いの結果に対して、クロロは次のように解釈しています。
大切な暦が一部欠けて」「霜月は高く穏やかに運ばれていく」は、鎖野郎にやられた ウボォーギン のこと。霜月は11月で、ウボォーギンの団員番号と一致します。

さらに、「もろとも涸れ落ちて」は菊月(9月)、葉月(8月)、水無月(6月)を暗示し、パクノダシズクシャルナーク死ぬと読みました。

クロロは自身の念能力である盗賊の極意(スキルハンター)でネオンの能力を盗んだ後、団員に対して占いをしています。
対象はほぼ全ての団員です。生年月日等のデータが足りなかったフェイタン、フィンクス、コルトピは占うことができませんでした。

ただ、作中で占いの結果が公表されているのは一部のみです。

ノブナガの結果

大切な暦が一部欠けて
遺された月達は盛大に葬うだろう
加わり損ねた睦月は一人で
霜月の影を追い続ける

菊が葉もろとも涸れ落ちて
血塗られた緋の目の地に臥す傍らで
それでも蜘蛛は止まらない
遺る手足が半分になろうとも

「加わり損ねた睦月」は、ウボォーギンの弔い合戦に参加し損ねた団員番号1番のノブナガのことを表しています。クロロともかぶる部分が多いですが、シズク等と比べて2週目で終わっていないことから死の予言は出ていないことがわかります。

シズクの結果

大切な暦が一部欠けて
遺された月達は盛大に葬うだろう
貴方は仲間と墓標に血をそえる
霜月が寂しくないようにと

黒い商品ばかりの収納場で
貴方は永い眠りを強いられる
何よりも孤独を恐れなさい
2人きり程怖いものはないのだから

クロロに出た予言に加えて、自身の予言が2週目までで終わっていることから、シズクは死ぬのは自分であることを悟りました。

「黒い商品ばかりの収納場」とは、盗んだオークション商品を置いたアジトと考えられます。

悪い予言は回避することが可能なので、シズクは占い以降グループ行動を取り、死の予言を回避することができました。

ヒソカの結果

赤目の客が貴方の店を訪れる
半身は天使で半身は死神
月達の秘密を売るといいだろう
霜月のそれが特に喜ばれるはずだ

熱い日に件の客の仲介で
逆十字の男と2人きりになれるだろう
偽りの卯月は暦からはがされる
これで残りは6枚となる

「客」とはクラピカのことです。ヒソカは旅団をヨークシンシティに留まらせるために、薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)で占いの結果を改竄しています。

明らかにはされていませんが、ヒソカは最初2週目以降も占いはあったが改竄によって2週目までに限定したと考えられます。

赤目の客が貴方の店を訪れて
貴方に物々交換を持ちかける
客は掟の剣を貴方に差し出して
月達の秘密を攫って行くだろう

11本足の蜘蛛が懐郷病に罹り
さらに5本の足を失うだろう
仮宿から出てはいけない
貴方もその足の1本なのだから

パクノダの結果

暗くてわずかに明るい日
貴方は狭い個室で2択を迫られる
誇りか裏切りしか答えはないだろう
死神が貴方の側に佇む限り

パクノダの結果で明らかになっているのは2週目のみです。
明言はされていませんが、クロロの結果(菊月)と併せて2週目までで終わっていたと予想されます。

シャルナークの結果

電話を掛けてはいけない
一番大事な時につながらないから
電話に出るのもすすめない
3回に一度は死神につながるから

パクノダ同様に2週目のみ明らかになっています。また、クロロの結果(涸れ)と併せて2週目までで終わっていたと予想されます。

占い以降は電話を使わないようにした結果、死の予言を回避することができました。

時系列

占いは週ごとの予言であり、ヨークシンシティ編は複数のストーリーが同時進行で展開され複雑なので、抜粋して整理します。

日時 イベント
9月2日(木) ウボォーギンがクラピカに殺される
9月3日(金) クロロがネオンに占ってもらう(ついでに能力を盗む)。旅団がオークションを派手に荒らし、ウボォーギンを弔う
9月4日(土)朝〜昼前後 クロロが団員を占う
9月4日(土)19時 レオリオの合図でクロロがクラピカに攫われる。ヒソカはイルミの協力を得てアジトを抜け出す。
9月4日(土)20時 パクノダが一人で空港へ。クラピカのジャッジメントチェーンがクロロ、パクノダに刺さる
9月4日(土)21〜23時? パクノダが旅団のアジトに戻り、団員同士が言い争う。最終的にパクノダ、ゴンとキルアを連れて再び空港へ
9月5日(日)0時頃 人質交換(クロロとゴン・キルア)。ヒソカはクロロと対峙するが既に念が使えない状態になっていた。
9月5日(日)夜明け前 パクノダがアジトに戻る。旅団の初期メンバーに記憶弾(メモリーボム)を撃ち死亡。

仮に日曜日が週の始まりだとすると、2週目に突入したのは人質交換あたりのタイミングということになります。

「手足が半分になる」の解釈

冒頭に説明したように、「手足が半分になる」を「旅団よりも団長を優先してしまい、旅団の手足としての機能を失う」と解釈します。

最初に決断が迫られたのは9月4日19時頃のクロロ誘拐後です。

クラピカの指示に従い、パクノダを一人で空港に行かせるようにした。つまり旅団ではなく団長を優先してしまったのは誰でしょうか。

ハンター×ハンター115話より引用
ハンター×ハンター115話より引用

パクノダはもちろんのこと、ノブナガもクロロの命を優先してしまっています。

逆に複数人で追う判断をしたのはシャルナーク、フィンクス、フェイタンでした。

ハンター×ハンター115話より引用
ハンター×ハンター115話より引用

続いてマチコルトピもノブナガに賛同しています。少し微妙なラインですがその後シズクもノブナガ派を宣言しています。

機能を失った手足たち

旅団よりも団長を優先させてしまったのはパクノダ、ノブナガ、マチ、コルトピ、シズクの5名で、死んでしまったウボォーギンを合わせるとちょうど半数の6名です。

つまり、手足に関する占いは当たっていたとも考えられます。クロロは自身も旅団の一部でしかないと心から思っており、たとえ念能力が使えない状態であったとしても旅団がクラピカに負けることはないと確信していたのでしょう。

ヒソカが数に入っていませんが、旅団に入ったのは見せかけだったと本人は言っています。またクロロも、ヒソカを旅団の手足とは思っていなかったでしょう。

ハンター×ハンター119話より引用
ハンター×ハンター119話より引用

パクノダの2択とは

パクノダの占い結果は2週目のものでした。
深夜のリンゴーン空港は星空がよく見えて「暗くてわずかに明るい日」に当てはまりそうです。また、「狭い個室」や「死神が貴方の側に佇む」は帰りの機内でヒソカと話すシーンのようにも見えます。

ヒソカに2択を迫られるようには見えませんでしたが、パクノダの脳内では何か葛藤があったのかもしれません。

またヒソカの言うように、運命が少しずつズレてきていたのでしょうか。

シズクとシャルナークの回避行動

2人の悪い予言は2週目のものですが、回避行動をはじめたのはぎりぎり1週目からでした。安全を期してだと思いますが、結果的に回避できて良かったですね。

シズクがもし待機組としてアジトに残っていたら、シャルナークがもしクラピカの電話に対応していたら。占いが無かった場合の結果を考えるのもひとつの楽しみ方だと思います。

おわりに

占いの結果が暗示であること、また個々の占い結果の時系列が曖昧なので、考察するのが非常に難しい内容でした。

旅団員のクロロに対する思い入れの強さや意見を主張する際の性格による違いなど、個性がはっきり出ているのは面白いですね。


© 2020 兵器ブリオンのハンター解説